動き
第7回国際精神療法学会印象記
荻野 恒一
1
1南山大学
pp.332-335
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201322
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.Wiesbadenにはいつて
Wiesbadenは,森と丘に囲まれ,色とりどりの花にあふれた美しい,そしてきわめてドイツ的な町である。ソ連,フィンランド,スカンジナビア3国を,2週間あまり言葉に悩まされながら旅行して,ようやくドイツにたどりついた私は,つたないドイツ語ではあつても言葉の点で,また高校以来なじんでいるゲルマン文化のなかにはいつたという点でも,第2のハイマートといつても過言でないドイツ的雰囲気のなつかしさとふかい共感を感じた。加えて8月20日の日曜日,多くの国際学会がひらかれてすでに日本でも知られているRhein-Main-Halleに用意されているKongressburoに,今度の学会の会員の登録をしているとき,私はたまたま,ながくMainzに留学中の宇野昌人氏(同氏が石川清氏と共著のかたちで書かれた「ヤスパースと現象学派」の論文を,私はすでに読んでいたが)に出会つて,同氏の車で丘に登り,Wiesbadenの街全体を眺めることもできた。21日から26日までの1週間,私としては初めてといつていい程度に学会に皆出席したが,いまかえりみて,このときのWiesbadenの印象は,1週間をとおして私の心に残つていたように思う。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.