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特集 精神療法の技法と理論—とくに人間関係と治癒像をめぐって
第3回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
精神分析における技法と理論—とくに人間関係と治癒像をめぐつて
Technique and Theory in Psychoanalysis: particularly about therapeutic human-relationship and healing picture
西園 昌久
1
Masahisa Nishizono
1
1九州大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry Faculty of Medicine, Kyushu Univ.
pp.479-483
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201217
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Ⅰ.
精神分析の技法はたえず進歩がはかられ,修正されこんにちにいたつていることは他の医学的治療となんら異なるところがない。また,古くは,E. Glover3)が報告したように,個々の分析医は個々の患者たちに違つたやり方ではたらきかけ,2人の分析医がまつたく同じ技法をもちいているものでもない。もちろん,そうした技法の修正,発展,さらにバリエーションは,精神分析理論と相互に影響して発展してきているのである。それらの基礎ともなる標準的,ないしは古典的な精神分析を定義するとしたらつぎのようになるであろう。
すなわち,精神分析とは転移神経症を発達させるのにもつとも効果的な人間関係を治療状況に作ることによつて,情動障害を治療する方法である。転移神経症とは自由連想法の実施によつて,もたらされた分析医に対する患者の小児神経症の再生をさしている。自然,分析医の治療的役割が重視され,治療上に決定的な変化を起こさせるものは分析医が患者に対して理解ある中立性という雰囲気のなかで行なう解釈である。このような経過がおしすすめられて,患者は自己の神経症的葛藤を解決することができるほどの洞察が得られる。こうした洞察が患者によつて得られることが精神分析の治療目標である。このような標準的な技法を基点として分析医たちは,精神分析の実践を行なつているのであるが,時代とともに,その内容がしだいに変遷してきていることはさきにあげたとおりである。
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