Japanese
English
研究と報告
尋常性魚鱗癬,精神薄弱に痙性対麻痺を合併した1例について
On a Case of Ichthyosis Vulgaris Combined with Oligophrenia and Spastic Diplegia
村上 弘司
1
K. Murakami
1
1横浜市立大学医学部神経科学教室
1Dept. of Neuro-psychiat., Yokohama Univ. School of Med.
pp.659-662
発行日 1966年8月15日
Published Date 1966/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201051
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I.序
これまでに魚鱗癬と精神神経症状の合併および両者の関係については,多くの報告と論議があつた。その本態には,“Psycho-ectodermose”(Touraine);間脳下垂体の機能障害(間脳症の1型)(Laubenthal;鳩谷);“konstitutionelle-neuropathische Anlageschwäche”(Ploog)などの見解がある。魚鱗癬それ自体,皮膚科学的に分類することは,非常に困難であつて,種々なる問題があるが,両極に先天性魚鱗癬と尋常性魚鱗癬があり,その間に種々の中間型があるとされている。またそれぞれの魚鱗癬が種々なる合併症(精神薄弱,てんかん,内分泌障害,奇形など)を伴つていることから,その関連性が問題とされてきた。以下に報告する症例には,問題点が多々あるが,尋常性魚鱗癬,精神薄弱に,痙性対麻痺を伴つた特異な症例である。すでにSjögren-Larssonらにより,先天性魚鱗癬と精神薄弱,痙性対麻痺を主徴とする症候群について詳細な報告が発表されているが,尋常性魚鱗癬に精神薄弱と痙性対麻痺を伴う症例報告はまだない。したがって,本例は,魚鱗癬とその合併症について新しいみかたを進める出発点となるのではないかと考えられるのである。
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