Japanese
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研究と報告
全生活史健忘の臨床的研究補遺—その責任能力,ならびに訴訟能力について
A Clinical Study of Total Amnesia: Supplement: On Criminal Capacity and Capacity to Action
山田 治
1,2
,
木村 駿
3
O. Yamada
1,2
,
S. Kimura
3
1佐嗚湖病院
2慶応義塾大学医学部神経科教室
3群馬大学教育心理
1Sanaruko Hospital, Hamamatsu City
2Dept. of. Neuro-Psychiat., Keio Univ. School of Med.
3Dept. of Educational Psychology, Guruma Univ.
pp.614-618
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200873
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I.緒言
われわれは,さきに健忘が個人の全生活史にわたつた11例を報告1)2),これらの症例における症状発現の誘因として,つねに意識障害の存在があることを述べ,全生活史健忘は,あらかじめ心因的に準備されていたヒステリー反応が,不特定の原因(時に器質的なものであつてもよい)による意識障害を契機として突然現われたもので,その臨床経過は,i)先行する意識障害期,ii)無知受動期,iii)しだいに一部の記憶をとり戻す時期,iv)特有の情緒安定期,v)回復後の不機嫌抑うつ期,に分けられることにつき述べた。本稿では,同様に全生活史にわたる健忘を訴える1例を追加,さきに報告したものと合わせ,詐病との関係を中心に,とくにその責任能力,訴訟能力の問題につき考察する。
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