Japanese
English
研究と報告
頭部外傷後の神経症症状形成における社会的心理的要因の意義(第1報)/(第2報)
On the Signifcance of Social and Psychological Factors in the Symptom Formation of the Neurotic State following Head Injuries
諏訪 望
1
,
森田 昭之助
1
,
古屋 統
1
,
藤井 英生
1
,
川村 幸次郎
1
,
本間 均
1
,
駒井 透
1
,
大和田 宏
1
,
石戸 政昭
1
,
西堀 恭治
1
,
山下 格
1
,
小林 義康
1
,
村田 忠良
1
,
吉田 稔
1
,
伊藤 嘉弘
1
,
西 信博
1
,
吉村 洋吉
1
1北海道大学医学部精神医学教室
pp.351-366
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200224
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はしがき
頭部外傷の後遺症のうちで,多彩な自覚症を有しながら,その裏づけとなる器質的障害,または機能的障害を明確にしえない症例が増加してきていることは,臨床的に直接われわれが経験しているところである。
これらの症状形成の因子に関して,かつては単純な心因論と器質論とが対立したこともあつたが,この両者を截然と区別することはきわめて困難である。したがつて,かかる問題の究明には単に狭義の医学的な立場からだけでなく,社会的要因の意義についても十分な考察が必要と考えられる。とくにわが国においては,第2次大戦後,労働者災害補償保険法(労災法)が施行され,外傷の機会の多い労働者に対する社会補償が,一応形態を整えてはきたが,そのことは反面において,頭部外傷後遺症の症状形成にさらに複雑ないろどりを与えているとも考えられるわけである。
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