Japanese
English
特集 大学生とメンタルヘルス―保健管理センターのチャレンジ
総論
General Statements of University Student and Mental Health
杉田 義郎
1
Yoshiro SUGITA
1
1大阪大学キャンパスライフ支援センター
1Support Center for Campus Life, Osaka University, Suita, Japan
キーワード:
University students with mental malfunction
,
Globalization
,
Widening disparity
,
Risk society
,
Safety net
Keyword:
University students with mental malfunction
,
Globalization
,
Widening disparity
,
Risk society
,
Safety net
pp.367-373
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102711
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はじめに
1990年代以降,現在に至るまで日本も世界も激動の時代であり,グローバリゼーションが急速に進んでいる。それまでの近代化は近代的な理性が絶対的な位置を占めていたが,現代はこれまでの単純な近代(初期近代)とは違ったフェイズに入ったという,ポストモダン思想が生まれてきている。秩序や人間関係を規定するソリッドな枠組みがなくなったとして,社会学者のジークムント・バウマンは現代はすべてが流動化している状態として“リキッド・モダニティ”と呼んでいる6)。また,ウルリッヒ・ベックは発展した技術や経済が人間の統制下から離れ,意図せざる結果として地上の生命体をおびやかしている「環境リスク」や集団の保護機能が弱体化し,リスクは個々人に対し直接的にふりかかかるようになった「人生のリスク化」が生じる現代を“リスク社会”としている5)。
大学,そして保健管理センターといえども,現代社会の中にあってはこのような状況から免れることはできない。むしろ,このような時代であるからこそ,学生,教職員にメンタルヘルス不調者が増え,保健管理センターのメンタルヘルス・サポートの役割が期待され,実力が問われているといってもよい。
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