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SST(social skills training,社会生活技能訓練)とはなにか
SSTは,日常生活を送る上で必要なスキルの獲得を,学習理論に基づいて促す援助技術であり,認知行動療法の技術体系のひとつである。よりよい社会生活を送るためには,誰にとってもスキルは不可欠であり,SSTでは主に行動レベルでの対人技能(social skills)の獲得を標的としている。しかし,より内面的な認知や感情の部分への介入と連動して行われることも多く,また対人技能だけでなく精神障害の自己管理スキルの学習などもSSTの技術を用いて行われる。スキルが不十分なために何らかの社会生活の上での障害があり,それを克服したいと希望する人がSSTの対象者となる。たとえば,学校でうまく友人を作れない児童,周りとの折り合いが不得手でしばしば逸脱行動を行う少年などである。統合失調症をはじめとする慢性精神障害では,さまざまな生活領域において,スキルが不十分であるがゆえに貧しい生活の質を余儀なくされていたり,ストレスに対処できずに再発を繰り返すことが起こるので,スキルの獲得は治療目標を超えて,広く「人生の質」にかかわることになる。このような考え方から,SSTは希望を志向する援助(hope-oriented approach)と呼ばれることがある。
SSTは集団でも,個人でも実施される。集団で行う場合には,仲間同士のサポートや相互の社会的学習の促進など,一般の集団療法と同様のメリットがある。学習効果を上げるためには,最低週1回,1時間以上の実施が推奨される。集団で行う場合には,参加人数は8名前後が適当であり,治療者は2名(リーダーとコリーダー)程度が一般的である。
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