Japanese
English
特集 SST最近の進歩と広がり
認知機能リハビリテーションとSSTの併用による効果
Integrated Effects of Social Skills Training and Neurocognitive Rehabilitation in Schizophrenia
松田 康裕
1
,
池淵 恵美
2
Yasuhiro MATSUDA
1
,
Emi IKEBUCHI
2
1奈良県立医科大学精神医学教室
2帝京大学医学部精神科学教室
1Department of Psychiatry, Nara Medical University School of Medicine, Nara, Japan
2Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
Neurocognition
,
Social cognition
,
Neurocognitive rehabilitation
,
Social skills training
,
Integrated psychosocial therapy
Keyword:
Neurocognition
,
Social cognition
,
Neurocognitive rehabilitation
,
Social skills training
,
Integrated psychosocial therapy
pp.223-230
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102399
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はじめに
統合失調症では,幻覚や妄想などの陽性症状が寛解した後も地域での自立生活を送ることが困難なケースがみられ,その中でも本人の苦痛が強いのが社会生活技能の障害であるとされている。社会生活技能とは,言語的・非言語的コミュニケーションや内面的感情・態度・対人状況の文脈的理解によって構成されるスキルで,外見的な行動だけでなく,より内在的な認知や感情も含まれ,また対人的状況のみでなく,事物処理や自己管理などの側面も含まれる。コミュニケーションとは,その場の状況や文脈に応じて適切な情報を取捨選択し,その中から自己の内的状態に相応な反応を紡ぎ出し,言葉や表情・身振りを用いて表現する。こうした脳神経ネットワークの働きにより,他者との心理的相互交流が可能となる。
統合失調症ではこうした脳神経ネットワークに生来的な脆弱性があり,さらに発病によって障害が加わり,そのために社会的学習に制限がみられると考えられている。本稿では,コミュニケーション能力と認知機能や社会機能との関連,さらに社会生活技能訓練(social skills training;SST)や認知機能リハビリテーション,社会的認知リハビリテーションについてこれまでの知見をふまえ,今後の課題と方向性について若干の意見を述べる。
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