Japanese
English
短報
透析患者における夜間せん妄にブロナンセリンが有用であった2症例
Two Cases that Blonanserin was Useful for Delirium by Night in the Patient on Dialysis
宮本 和子
1
,
池田 輝明
1
Kazuko MIYAMOTO
1
,
Teruaki IKEDA
1
1医療法人健心会桑園病院
1Soen Hospital, Sapporo, Japan
キーワード:
Blonanserin
,
Delirium
,
Dialysis
,
Oversedation
,
Risperidon
Keyword:
Blonanserin
,
Delirium
,
Dialysis
,
Oversedation
,
Risperidon
pp.1103-1106
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102026
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はじめに
せん妄の治療は,適切な身体的治療や環境改善とともに薬物療法が行われることが多い。特に精神運動興奮が顕著な場合では,カテーテルや点滴抜去など身体治療の妨げになることが多いため,薬物療法が必要となる場合が大部分である。従来のせん妄治療はハロペリドール1,13)を代表とする第一世代抗精神病薬が用いられてきたが,第一世代抗精神病薬は,嚥下困難や薬剤性パーキンソニズムなどの錐体外路症状,QTc間隔の延長,過鎮静などの副作用が問題となる。このような欠点を補うものとして,近年わが国や欧米を中心として,第二世代抗精神病薬によるせん妄治療への有用性が報告されている2,4,5,8,14)。
ブロナンセリンは脳内ドパミンD2受容体とセロトニン5-HT2A受容体に選択的な受容体親和性を有する第二世代抗精神病薬である。そして,アドレナリンα1受容体,ヒスタミンH1受容体,ムスカリン性アセチルコリンM1受容体への親和性は低いため,過鎮静,体重増加,内分泌系の副作用が少ないという特徴を併せ持っている10,11)。
今回,筆者らは,高齢者の透析患者におけるせん妄に対してリスペリドンを投与するも,過鎮静によりリハビリテーション(以下,リハビリ)がスムーズに行えなかった症例において,ブロナンセリンに切り替えたところ,それらの問題が解決した2症例を経験したので報告する。
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