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特集 成人てんかんの国際分類と医療の現状
てんかんと精神医学―てんかん学・てんかん医療の新たなあり方を考える
Epilepsy and Psychiatry: How can psychiatry contribute to the care of patients with epilepsy?
山内 俊雄
1
Toshio YAMAUCHI
1
1埼玉医科大学
1Saitama Medical University, Saitama, Japan
キーワード:
Epilepsy
,
Depression
,
Suicide
,
Comprehensive care
,
QOL
Keyword:
Epilepsy
,
Depression
,
Suicide
,
Comprehensive care
,
QOL
pp.423-435
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101864
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はじめに
ある疾患について,その病気をどこの診療科が診るか,といった疾患の帰属が折に触れて問題にされてきた。たとえば精神科領域でいえば,認知症が然り,神経症も他の領域に拡散を続け,果てはうつ病でさえ辺縁領域との間で,どこの診療科がみるべきかという議論がある。その背景には,やがては自分たちの診療領域が少なくなり,専門領域に対するアイデンティティが持てなくなるという危機感が存在することが1つの理由であると思われる。
しかし,医学の進歩発展に伴い,従来の分類や棲み分けが変わるといった状況はいつの時代にもあったし,特に最近のように学問や診療のあり方が急速に変化している時代では,それほど珍しいこととは思われない。そのよい例が,内視鏡やカテーテルの改良,技術の進歩によって,さまざまな手術が内視鏡下に行われるようになり,これまでのような外科か,内科かといった棲み分けがあいまいとなり,内科医が積極的に内視鏡下に手術的操作を行うようになったことを挙げることができよう。このように学問や診療の進歩発展に伴い,関与する診療科に変化が生じることは自然の成り行きともいえよう。
そのことはてんかんの医療についても同様であり,すでに別のところで論じたように,新しい時代に合ったてんかんの医学・医療が行われるべきと考えている48)。
本稿では,わが国におけるてんかんの医学・医療の歴史をたどりながら,主として精神医学的立場からてんかん医療の抱える課題を明らかにし,新しい時代を迎えたてんかん学・医療はどうあるべきか,精神医学に何が求められているかについて考えてみたい。
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