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私のカルテから
著明な認知機能低下を初発症状とし,MRI画像をきっかけにしてHIV脳症と診断された1例
A Case of HIV Encephalopathy Noticed by Severe Cognitive Impairment and Characteristic MRI Findings
志賀 弘幸
1
,
根本 清貴
2
,
井口 俊大
1
,
高橋 卓巳
3
,
今井 公文
3
,
人見 重美
4
,
栗原 陽子
4
,
水上 勝義
2
,
朝田 隆
2
Hiroyuki SHIGA
1
,
Kiyotaka NEMOTO
2
,
Toshihiro IGUCHI
1
,
Takumi TAKAHASHI
3
,
Koubun IMAI
3
,
Shigemi HITOMI
4
,
Yoko KURIHARA
4
,
Katsuyoshi MIZUKAMI
2
,
Takashi ASADA
2
1筑波大学附属病院精神神経科
2筑波大学大学院人間総合科学研究科精神病態医学
3国立国際医療センター戸山病院
4筑波大学附属病院感染症内科
1Division of Psychiatry, Tsukuba University Hospital, Tsukuba, Japan
2Department of Psychiatry, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
3Department of Psychiatry, Toyama Hospital, International Medical Center of Japan
4Division of Infectious Diseases, Tsukuba University Hospital
pp.1225-1227
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101753
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はじめに
本邦におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数は年々増加し,今後も増加するものと考えられている4)。近年,HIV感染症の治療にウイルス複製過程を阻害する薬を併用するHAART療法(highly active anti-retroviral therapy)が行われるようになり,HIV感染症患者の生命予後が著明に改善している2)。本邦でも,国立国際医療センター戸山病院で2007年4月~2009年3月の2年間にエイズ治療・研究開発センターより精神科へ診察依頼があったHIV感染症患者86例のうち,HIV脳症は2例にとどまる。しかし,HIV感染症自体が拡大し,HIVは頻繁に変異を繰り返すことから,HIV脳症自体は今後再び増えていく可能性がある。今回我々は,著明な認知機能低下を認め,MRI画像所見がきっかけとなってHIV脳症と診断されるに至った症例を経験した。HIV脳症をみる頻度が減少している中,貴重な症例と考えられたため報告する。なお,個人情報保護の点から細部を改変している。
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