Japanese
English
短報
Cilostazolにより寛解に至った晩発性双極Ⅱ型障害の1例
Successful Use of Cilostazol in Treatment of Late-onset BipolarⅡ Disorder:A case report
網野 賀一郎
1,2
,
大澤 良郎
1
,
片山 成仁
2
,
飯森 眞喜雄
2
Kaichiro AMINO
1,2
,
Yoshiro OSAWA
1
,
Shigemasa KATAYAMA
2
,
Makio IIMORI
2
1南埼玉病院
2東京医科大学大学院医学研究科精神医学講座
1Minami Saitama Hospital, Koshigaya, Japan
2Department of Psychiatry, Tokyo Medical University Graduate School of Medicine
キーワード:
Cilostazol
,
Bipolar disorder
,
Late-onset
,
Deep white matter lesion
,
Leukoaraiosis
Keyword:
Cilostazol
,
Bipolar disorder
,
Late-onset
,
Deep white matter lesion
,
Leukoaraiosis
pp.1205-1208
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101749
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はじめに
1997年,Alexopoulosら1)やKrishnanら11)は,脳卒中後うつ病に加えて,脳卒中発作や神経学的徴候がなくてもMRI上の深部白質病変など画像所見や,血管障害の危険因子などを伴ううつ病も包括した概念として,血管性うつ病(vascular depression)を提唱した。以後,晩発性うつ病と血管障害の危険因子,深部白質病変などの関連について研究がなされ4,9),晩発性双極性障害についても同様に早発性双極性障害と比較し,血管障害の危険因子や深部白質病変を有することが多いことなどから16,18),微小血管障害などの脳器質病変が発症に何かしらのかかわりがあるのではないかと想定されている。近年,血管拡張作用と脳血流改善作用を有する抗血小板薬であるcilostazolが晩発性うつ病に対して効果があったという症例報告が散見されるが2,6,17),血管障害の危険因子と白質病変を有する晩発性双極性Ⅱ型障害の患者に対し,cilostazolを投与し寛解に至った症例を今回経験したので報告する。同薬は保険適応外の使用であったが,使用の目的と予測される副作用を説明したうえで,患者および家族の同意を得て使用した。なお,論旨を損ねない形でプライバシーに触れるところは適宜改変した。
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