書評
―岩田 誠,河村 満 編―《脳とソシアル》発達と脳―コミュニケーション・スキルの獲得過程
小林 登
1,2
1東京大学
2チャイルドリサーチネット
pp.624
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101652
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発達を脳科学と関係づけて論じた書
本書は,東京女子医科大学名誉教授 岩田誠先生と,昭和大学医学部教授 河村満先生によって編集され,序論を含めて4章からなり,わが国の発達領域にかかわる脳研究の第一人者である18人の専門家により執筆された272ページからなるものである。
全体として,その構成を見ると,岩田誠先生のアイデアが光っているように見える。評者は折々,先生のお考えをうかがう機会があったからそう思うのであろうか。脳からみたヒトの発達について先生が書かれた興味深い序論,さらには冒頭の「発刊に寄せて」,そして巻末の「あとがきにかえて」の河村先生との対談を読むと,それがよく理解される。すなわち,文化人類学的,さらには進化論的な発想で医学・医療問題をとらえようとする立場である。評者も,脳の働きを理解するには,それなしでは成し得ないと考えている。
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