書評
―岩田 誠,河村 満 編―《脳とソシアル》発達と脳―コミュニケーション・スキルの獲得過程
小西 行郎
1
1同志社大学赤ちゃん学研究センター
pp.932
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101706
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小児神経科医に示されたゴール
まずはじめに,本書が神経内科の2人の教授によってまとめられたことに驚きと,ある種の焦燥感を覚えた。どうして「発達」を小児科医ではなく内科の先生が? しかし,そうした思いは読み進むうちに消え,この書は,われわれ小児神経科医を激励してくれていると思えるようになった。
発達障害という問題が社会的に大きな関心を呼び,さまざまな分野で多くの人が発言している中で,神経科学的立場から発達のメカニズムをとらえ,確かな情報を発信している書は比較的少ないように思われる。しかし本書は,内科医からの視点で編集されているがゆえに,胎児・新生児からの発達過程をたどるわけではないが,発達障害を持つ子どもの脳障害を科学的に説明し,発達障害を持つ子どもへの理解をより深めるのに大変に重要な本であることを認めざるを得ない。
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