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Seishin Igaku Volume 51, Issue 11 （November 2009）

精神医学 51巻11号（2009年11月発行）

Japanese English

私のカルテから

通過症候群の原因としてCPM・EPMが疑われた1例―低ナトリウム血症治療の注意を含めて A Case of Transient Syndrome Suspected to be Caused by Myelinolysis of Central Nervous System 武井史朗 ^1,2 , 佐々木高伸 ^1,3 , 和田健 ¹ , 福本拓治 ^1,2 , 矢野智宣 ^1,4 , 佐藤悟朗 ⁵ Shiro TAKEI ^1,2 , Takanobu SASAKI ^1,3 , Ken WADA ¹ , Takuji FUKUMOTO ^1,2 , Tomonori YANO ^1,4 , Goro SATO ⁵ ¹広島市立広島市民病院精神科 ²広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学 ³佐々木メンタルクリニック ⁴府中市立湯が丘病院 ⁵草津病院 ¹Department of Psychiatry, Hiroshima City Hospital, Hiroshima, Japan ²Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Biomedical Sciences, Hiroshima University ³Sasaki Mental Clinic ⁴Fuchu City Yugaoka Hospital ⁵Kusatsu Hospital pp.1129-1131

発行日 2009年11月15日 Published Date 2009/11/15

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101528

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はじめに

　意識障害を生じる重篤な身体疾患の急性期から慢性期への移行期(回復期)に，意識障害は目立たないがさまざまな精神症状を呈することがあり，その状態をWieckは「通過症候群」とした⁴⁾。しかし，原因となる身体疾患は特に限定されておらず，精神症状を生じる機序も多岐にわたると考えられる。今回我々は意識障害を伴う低ナトリウム血症の治療後に通過症候群を呈し，その原因として橋中心性髄鞘崩壊症(central pontine myelinolisis；CPM)および橋外髄鞘崩壊症(extra pontine myelinolisis；EPM)が疑われた症例を経験したので報告する。