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特集 精神疾患と睡眠マネージメント―最新の知見
睡眠薬と夜間異常行動
Hypnotics and Nocturnal Abnormal Behavior
石郷岡 純
1
Jun ISHIGOOKA
1
1東京女子医科大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Tokyo Women's Medical University, Tokyo, Japan
キーワード:
Benzodiazepines
,
Non-benzodiazepines
,
Hypnotic
,
Nocturnal abnormal behavior
Keyword:
Benzodiazepines
,
Non-benzodiazepines
,
Hypnotic
,
Nocturnal abnormal behavior
pp.675-679
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101453
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はじめに
現在,睡眠薬として使用されている薬物はほとんどがベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZ)である。かつてのバルビツール酸系睡眠薬の時代とは異なり,不眠治療はきわめて安全に行えるようになり,精神科医以外の医師にも広く使用される薬剤となった。BZの優れた薬効と安全性の高さからもたらされる高い有用性は,不眠症患者に対して,いくら強調してもしつくせないほどの大きな貢献を果たしてきた。しかし,安全性では定評のあるBZでも副作用が皆無ではなく,睡眠薬を上手に使用するには,その副作用を正確に把握しておくことがポイントである。
ひとくちに睡眠薬による行動の障害といっても,その内容は多彩である。また,報告者の関心のあり方によって,類似の現象であっても記載方法がまちまちなので,その全貌を把握することは案外困難である。さらに,夜間に生じる行動の障害とはいっても,単純に睡眠薬の服用後であるという意味でしかないのか,睡眠や概日リズムと関連した現象であるのかも不明なものが多い。このように,十分に医学的な検討を行うには制限のある領域ではあるが,臨床家にとっては「睡眠薬服用後に起こる行動の障害」を包括的に概観しておくことによって,睡眠障害の治療を効果的に進めていくために有用な視点が提供されることも事実であろう。本稿では睡眠薬服用時にみられる夜間の異常行動について概観することとする。
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