書評
―岩田 誠,河村 満 編―《脳とソシアル》社会活動と脳―行動の原点を探る
地引 逸亀
1
1金沢医科大学精神神経科学
pp.611
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101443
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社会的行動の原点としての神経基盤を探る学際的アプローチ
東京女子医科大学の前任の神経内科教授 岩田誠先生と昭和大学医学部神経内科教授の河村満先生の編集から成る本書は,2007年11月30日に岩田先生が東京女子医科大学弥生記念講堂で会長として主催された第12回日本神経精神医学会のシンポジウム「脳からみた社会活動」を基としている。ただし,実態はそのシンポジウムの域をはるかに超えて,シンポジストのみならず神経心理学や精神医学,脳科学,社会心理学,経済学,倫理学などに携わる臨床医や基礎系の医学者,心理学者,文学,経済学さらには工学系の学者までもが執筆者として名を連ねた甚だ学際的な書物である。
編者らは先に『神経文字学―読み書きの神経科学』という編著を出版している。この従来の神経心理学の対象である失語や失行,失認,中でも読み書きという高次の機能の神経基盤からさらに進んで,本書のテーマは人間の行動,特に社会的行動の原点としての神経基盤についてである。
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