書評
―精神医学講座担当者会議 監修/佐藤光源,丹羽真一,井上新平 編―統合失調症治療ガイドライン(第2版)
鮫島 健
1,2
1日本精神科病院協会
2鮫島病院
pp.610
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101442
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首尾一貫した明瞭な疾患概念。すべての精神科医療者に贈る良書
「統合失調症治療ガイドライン」は,初版以来約4年ぶりに改訂第2版が出版された。精神医学の最新の進歩を広く取り入れながら,エビデンス・ベースドの治療ガイドラインをめざした本書は,発刊後多くの医師だけでなく多職種の精神科医療関係者に読まれ支持されてきた。
本書は「治療ガイドライン」でありながら,第1章疾患の概念のなかで,統合失調症の概念,疫学,臨床症状,経過と転帰などが簡潔に要領よくまとめられていて,必要で最新の知見の概要を学ぶことができるように構成されている。また,第4章その他の重要な問題として,自殺,身体合併症,早期精神病などが取り上げられており,第5章の今後の改訂と研究成果への期待では,脆弱性-ストレス-対処モデルの精密化など,統合失調症に関する今後の重要な課題のいくつかについてわかりやすく述べられている。
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