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特集 社会脳をめぐって
進化心理学からのインパクト―精神保健・自己実現・幸福感の条件
Impacts of Evolutionary Psychology on Psychiatry
豊嶋 良一
1
,
小山 毅
2
Ryoichi TOYOSHIMA
1
,
Tsuyoshi KOYAMA
2
1埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科
2医療法人静和会中山病院
1Department of Psychiatry, Saitama Medical University Hospital, Saitama, Japan
2Seiwakai Nakayama Hospital
キーワード:
Evolutionary psychology
,
Psychiatry
,
Happiness
,
Depression
,
Commune
Keyword:
Evolutionary psychology
,
Psychiatry
,
Happiness
,
Depression
,
Commune
pp.265-274
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101384
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はじめに
ヒトの「こころ」に生起する諸現象,喜怒哀楽,欲望や思念などのすべてはしかるべき「因縁」から,つまり,脳内ニューロン群を含む身体内外(他の個体などを含む)の諸因子が相互に作用し合うことから生じている。その「因縁」を時間的に遡り,数万年,数百万年,数千万年という単位で眺めたのが生命の進化過程に他ならない。この進化過程のうち,ヒトを含む生物の行動,ことにその個体同士がかかわり合う行動の仕組みの進化過程を明らかにするのが進化心理学である。筆者らはその専門家ではなく,それが与えてくれる叡智を精神科医療に携わる者として享受する立場にある。では,それはどのような叡智を我々に与えてくれるだろうか。進化心理学やその精神医学的意義についての所説をごく一部,ここで例示し,私見を述べてみたい。
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