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はじめに
2004年9月に厚生労働省精神保健福祉対策本部より提示された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」4)(以下,改革ビジョンと略す)では,精神保健医療福祉体系の再編という国家的な課題が提示された。その後,障害者自立支援法の成立によって,障害福祉サービスの体系が再編され,公費負担医療も自立支援医療費制度に一本化された。これに伴い2006年度より厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学事業)「精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究」研究班が立ち上げられた。この研究班では,これまで行われてきた精神保健福祉に関する調査を継承・発展させ,改革推進のためのフォローアップ研究を行い,根拠に基づいた改革の実現を図ることを目的としている。精神保健福祉の改革を研究の立場から推進していくには,政策の進展にかかわる数値指標についてモニタリングを行い,その結果を各地域の精神保健福祉計画における企画立案や実践に反映してもらうことが重要である。そのため,現場実践にあたる地域の政策立案者にとってアクセスしやすい形で最新の情報を提供していくことは重要である。
この「改革ビジョンの成果に関する研究」を円滑に進め,現場での実践に反映させていくためには,これまで各論的に行われてきた,精神保健福祉医療の多方面にまたがる調査研究,臨床活動を俯瞰的に把握し直すことが課題となる。そのため各論的な情報を効果的に集約し,アクセスしやすい形で共有化することが重要である。臨床研究や疫学研究においては,そこに携わる研究者らがインターネットを活用し,研究に関する情報を共有し,臨床データを収集し多施設合同研究を実施するのに用いられている2)。またいくつかの大学や団体では,World Wide Web上にウェブサイトを開設して情報提供を行うとともに,アクセスログを解析すること(以下,アクセス解析と呼ぶ)で利用状況や利用者のニーズについて検討した報告もみられる1,5~7)。
そこで本研究では,「改革ビジョンの成果に関する研究」(以下,改革ビジョン研究とする)のために,情報公開・共有方法を目的としたウェブサイトを開設し,アクセス解析によりその有効性を探索することを目的とした。
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