巻頭言
EBMとICD
中根 允文
1
1長崎国際大学大学院人間社会学研究科
pp.732-733
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101250
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ここのところ,科学の中で「疑似科学」に関する著書が,以前に比して目立つように考える。精神医学関連領域でも,Science and Pseudoscience in Clinical Psychology(Scott O. Lilienfeld, Steven Jay Lynn, Jeffrey M. Lohr, eds. The Guilford Press, 2003;日本語版,臨床心理学における科学と疑似科学,北大路書房,2007)などがある。ウィキペディア(Wikipedia)を見ると,無数の疑似科学例が列挙されてもいるのである。疑似科学そのものが個人レベルにとどまる場合にはさして問題ないが,十分に検討することなく科学的知見と速断されて広く喧伝されてしまうようになると安閑としておられない。これは,さまざまな場面でエヴィデンス(科学的「根拠」)が強調される一方で,逆説的により注目されるようになったのかもしれない。
エヴィデンスに基づく医学(Evidence-based Medicine;EBM)とかエヴィデンスに基づく医療(Evidence-based Practice;EBP)が,重要な用語であるのはすでに周知のことで,確かにそれに則って医学医療が実践できることは理想である。もちろん,関係する分野でエヴィデンスについての討論がなされたうえで,具体的な実践に活用されるであろう。国内でもEBMをタイトルの一部にした著書が発刊される時代であるから,今や数多くの知見が蓄積されているのであろうと考える。
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