Japanese
English
短報
Quetiapineによりけいれんが誘発された精神遅滞の1例
New-onset Seizure Associated with Only Quetiapine Treatment:A case report
畑矢 浩二
1
,
萬谷 昭夫
1
,
辻 誠一
1
,
藤川 徳美
1
Koji HATAYA
1
,
Akio MANTANI
1
,
Seiichi TSUJI
1
,
Tokumi FUJIKAWA
1
1賀茂精神医療センター
1Kamo Psychiatry Medical Center, Higashi-Hiroshima, Japan
キーワード:
Quetiapine
,
Seizure
,
Developmental disorder
Keyword:
Quetiapine
,
Seizure
,
Developmental disorder
pp.1123-1126
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101099
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はじめに
一般人口におけるけいれん発作の出現率は0.07~0.09%に対し,抗うつ薬や抗精神病薬を常用量服用している患者の0.1~1.5%にけいれん発作がみられ,過量投与や大量服薬時にはその頻度は4~30%へ上昇する10)。抗精神病薬が脳内のγアミノ酢酸(GABA)神経伝達系を抑制するとけいれんが誘発されるという説があり,けいれんを誘発する頻度の高い抗精神病薬ほどGABA抑制作用が強いことは,この説を支持する根拠にもなっている6)。またけいれんに対して抑制的に働くdopamine系受容体が抗精神病薬により遮断されることによってけいれん発作が誘発されるという説4)もあるが,いずれにしても抗精神病薬によるけいれん発作の発生機序はいまだ仮説の域を出ていない。
Quetiapineは衝動性に対する鎮静作用があり,錐体外路症状の副作用が少ないため6),統合失調症だけでなく,認知症7),自閉症9),人格障害1)などにおける興奮や衝動性に対する治療にも使用されている。また,脳波異常やけいれん発作を誘発する頻度は他の抗精神病薬より比較的低いという特徴がある2,3,10)。
今回我々はquetiapineを単剤で投与していた中等度精神遅滞患者にけいれん発作を認め,quetiapine中止後けいれん発作が消失した症例を経験した。Quetiapineを投与する際にもけいれん発作を誘発する可能性を十分考慮する必要があると思われた。
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