巻頭言
がん対策基本法―緩和ケアチームに精神科医のより積極的な参画を
内富 庸介
1
1国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部
pp.564-565
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101002
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「がん対策基本法」が本年4月に施行された。国会の場でがんを告白した議員の言動により一気に制定に傾いた。新法の目的は,がん対策のよりいっそうの努力を国,県,医師など国民すべてに義務づけたことである。基本理念は3つ,①がん研究の推進および医療技術の普及,②がん医療の地域格差是正,③患者本人の意向を尊重してがん治療方法などが選択されるよう医療提供体制を整備すること,である。
理念のもと,具体的な「がん対策推進基本計画」の策定を国が行い,県が二次医療圏に一つ程度指定されるがん診療連携拠点病院を中心に質の高い医療,診療連携,研修体制などを整備する。新法が関連する2007年度がん対策関係予算案(534億円;前年度から123億円の増額)を見ると,研究の推進,講座・大学院の新設,卒後研修の充実などが盛り込まれているが,がん診療連携拠点病院の整備が際立って配慮されている。拠点病院の指定要件でもある,がんの診断時からの緩和ケア体制の整備,つまり緩和ケアチームが特にユーザーにとっての目玉となっている。
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