Japanese
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研究と報告
体液モノアミン動態に異常所見を示した悪性緊張病の1例―悪性症候群の所見との比較
Malignant Catatonia with Abnormal Biogenic Amine and Metabolite Levels:Comparison with cases of neuroleptic malignant syndrome
西嶋 康一
1
,
高野 謙二
1
Koichi NISIJIMA
1
,
Kenji TAKANO
1
1自治医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Jichi Medical University, Shimono, Japan
キーワード:
Malignant catatonia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Catecholamines
Keyword:
Malignant catatonia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Catecholamines
pp.393-399
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100964
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抄録
筆者は,悪性緊張病と考えられる1例の患者を経験し,病相期に尿中,髄液中のモノアミン値とその代謝産物の測定を行った。臨床症状が類似し,病因に関してその異同が問題となっている悪性症候群7例の結果と比較した。その結果,髄液のドパミンの主要な代謝物であるホモバニリン酸は,悪性緊張病と悪性症候群はともに低値を示し,両疾患では共通して中枢のドパミン機能の低下状態が存在することがうかがわれた。一方,尿中のカテコルアミン値は両疾患で共に高値を示したのに対して,髄液中のノルアドレナリン値は悪性症候群では高値を示したが,悪性緊張病では正常範囲にあった。この所見からは,悪性緊張病と悪性症候群は末梢の交感神経系は共通して亢進しており,両疾患で認められる多彩な自律神経症状の発現と関係していることが考えられた。一方,中枢のノルアドレナリン神経系では,両疾患は異なる病態生理が存在する可能性が示唆された。
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