動き
「第12回多文化間精神医学会ワークショップ」印象記
桂川 修一
1
1東邦大学精神神経医学講座
pp.328-329
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100956
- 有料閲覧
- 文献概要
第12回多文化間精神医学会ワークショップが,2006年9月16日午後1時より,榎本稔会長((医)榎本クリニック理事長・院長)のもと,ホテルメトロポリタン池袋4階桜の間で開催された。当日は天候にも恵まれ,学会誌のみならず新聞などのメディアを通じて広報されていたせいか,会場には学会正会員の参加をしのぐ一般参加が多数あり,会場は約300名の人々でにぎわった。本ワークショップのテーマは「笑いと文化」であった。榎本会長のあいさつでは,21世紀を迎えた現在も世界では文化間の衝突や紛争の火種は絶えることはなく,日本においてもその煙霞を見ることは容易なままである。そのような社会背景をもとに多文化接触場面での誤解やフラストレーションを生む文化の違いを「笑い」というコミュニケーションを用いることで解決を図ろうとのことだった。ワークショップは2部構成で,第1部は研究者によるリレートーク,第2部は専門家によるフリートークとなっており,休憩を挟んで講演者同士によるてい談を行うというきわめてユニークな内容となった。
第1部のリレートークは,小田島雄志氏(東京芸術劇場館長 東京大学名誉教授)による「シェイクスピアにみる笑い」というテーマから始まった。氏の長年にわたるシェイクスピア研究から,数多ある戯曲から主要登場人物の語りを引用し,時代背景に照らしてそれぞれの人物像と物語に占める笑いの意味を解説した。紹介された登場人物はシェイクスピアの作品でも私たちに馴染み深い名前ばかりであったが,古典にみる彼らの笑いの意味するところを改めて知り新鮮な体験となった。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.