書評
強迫性障害―病態と治療
上島 国利
1
1昭和大学医学部精神医学
pp.335
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100870
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強迫神経症はその特異な症状や,治療の困難さゆえ長く精神科医の興味と関心をひいてきた。近年漠然と推測されていた生物学的な病態生理学が次第に明らかになるに従い,新たな観点からの治療的接近が行われ一定の成果が得られるところから再び脚光を浴びている。名称もDSMによるObsessive Compulsive Disorder(以下OCD)「強迫性障害」が一般的となっている。
本書は長年にわたりOCDの研究と診療に従事されている成田善弘氏によるもので,過去から現在までのOCD概念の変遷,成因,治療法の進歩などが要領よく,明解にまとめられている。その論述は,科学的厳密さの中に,著者のお人柄を彷彿とさせるような誠実さ,謙虚さ,人間的なやさしさに溢れている。OCD研究の現在における到達点が明らかにされていると同時に,明日からの臨床に役立つ実践的な治療法が具体的に解説されており,有用な情報が数多く提供されている。
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