書評
現代の子どもと強迫性障害
山内 俊雄
1
1埼玉医科大学
pp.1037
発行日 2005年9月15日
Published Date 2005/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102491
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子どもで強迫性障害がみられることは,さほど稀なことではないし,「固執」「こだわり」「反復」「常同」といった現象まで広く含めれば,強迫類縁の行動は,より一般的にみられる現象といえよう。それでは,子どもでみられるこのような現象は,大人の強迫性障害とどのように違うのか,子どもでみられる固執やこだわりは,強迫性障害に結びつくのか,あるいは,「現代の子どもと」とあえて書名に冠した意図はどこにあるのかなどなどの疑問が,この本を読む前に頭をよぎる。
実は,これらの疑問に,監修者の中根晃の序文が適切に答えている。「現代の日本での子どもの強迫現象は(外国や古い時代の子どもとは)その成立過程で微妙に違っているのではないだろうか」「強迫性障害は自閉症スペクトラムやADHDのような発達障害と違って病態とその症状の中心は成人期の病像である」「したがって,……まず,成人期の強迫性障害を極め,その上で強迫性障害における最近の神経病理学的所見を適正なバランスをもって記述することが重要である」「(その際)診断基準を軸に機能を記述することとなる。(その機能とは)ある時には社会的機能であり,ある時には神経生理学的機能である」
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