Japanese
English
短報
Donepezil投与後に生じた興奮・焦燥に対してtandospirone加薬が有効であったアルツハイマー型痴呆の1例
Successful Tandospirone Treatment for Agitation Developed in a Patient with Dementia of Alzheimer's Type after the Prescription of Denepezil
原田 貴史
1
,
小笠原 一能
1
Takashi HARADA
1
,
Kazuyoshi OGASAWARA
1
1医療法人財団大樹会総合病院回生病院心療科
1Dpartment of Psychosomatic Medicine and Psychiatry, taijukai-Kaisei General Hospital
キーワード:
Donepezil
,
Tandospirone
,
Agitation
,
Dementia of Alzheimer's type
Keyword:
Donepezil
,
Tandospirone
,
Agitation
,
Dementia of Alzheimer's type
pp.655-657
発行日 2003年6月15日
Published Date 2003/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100680
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
Donepezilはわが国最初のアルツハイマー型痴呆の治療薬である。donepezilの副作用の報告として,消化器症状や錐体外路症状ばかりでなく,焦燥,攻撃性,興奮など多彩な精神症状や行動障害を示すこと5)がわかってきた。donepezil投与により患者のADLは改善したが活動性や攻撃性が亢進し介護負担は増悪した報告4)もある。donepezilの効果には限界があるにしても,ほかには痴呆症状の進行を抑制する薬剤はなく,臨床の場においてこの薬に対する期待は大きい2)。
今回我々が報告するのは,donepezil投与後意欲や表情は改善したが,約3か月目頃より,興奮と焦燥感を認めたアルツハイマー型痴呆の75歳女性である。donepezilの減量や中止を考えたが家族は投与継続を希望したため,tandospironeを加薬したところ,次第に精神症状は安定した。文献的考察を加えて報告する。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.