Japanese
English
特別寄稿
生活療法の基礎理念とその思想史
Life-oriented Approach to Psychiatric Treatments (Life-centered Therapy):Basic concepts and the ideological history
臺 弘
1
Hiroshi UTENA
1
1坂本医院
1Sakamoto Clinic, Niiza, Japan
キーワード:
Life-centered therapy
,
Japanese culture
,
Way of life
,
Quality of life
,
Disability
Keyword:
Life-centered therapy
,
Japanese culture
,
Way of life
,
Quality of life
,
Disability
pp.1237-1252
発行日 2006年11月15日
Published Date 2006/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100361
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はじめに
筆者は精神科治療についての持論として「生活療法」が薬物療法を中心とする「生物学的治療」と「精神療法」とともに3本柱の一つに数えられることを幾度か提唱してきた。生活療法は外国由来の理念に発する治療ではなく,わが国の診療実践から生まれた貴重な術語である。それにもかかわらず,その意義は国内でさえ十分に理解されず,意図的に活用されてもいないのは残念である。これはわが国の精神保健とリハビリテーションが戦後の半世紀にたどった歴史にみられる発展と挫折の不幸な社会的な経歴によるところが多い。それには提唱者たちが,精神障害者の治療やリハビリの実践に当って「生活」の持つ意味について明確な吟味を怠ってきたことにも責任がある。精神科医療にとって生活概念が独特な内容と広がりを持つことは,国際的にみても認識されているとはいいがたいので,この論議は必要であろう。このような反省から,筆者は本文によってその基礎的な理念と思想史を論じようとする。
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