書評
米国精神医学会治療ガイドライン コンペンディアム
高橋 清久
1
1国立精神・神経センター
pp.1152
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100345
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
精神医療・福祉水準の向上へ。実用的ガイドライン
精神医療に携わるものにとって大変参考になる心強い翻訳書が出版された。本書には米国精神医学会(APA)が作成した11の治療ガイドラインが収められている。精神医学的評価法から始まり,せん妄,アルツハイマー病と老年期の認知症,HIV/AIDS患者の精神医学的ケア,統合失調症,大うつ病性障害,双極性障害,パニック障害,摂食障害,境界性パーソナリティ障害,自殺行動の評価と精神医学的ケアで終わっている。これらのガイドラインはすでにAmerican Journal of Psychiatryに掲載されたものであるが,こうしてまとまった翻訳本が出たことは,わが国の精神医療水準の向上に大きな寄与をするであろう。
ガイドラインの作成過程についての解説によれば,入手可能な文献について厳密で科学的な審査を行い,十分推敲された草稿を広範に審査し,最終的にAPA総会と理事会の承認を得るという厳しい吟味をしている。さらに,できるだけバイアスがかからないようにつとめたことや,いかなる営利団体からも財政援助を受けていないという点を強調している。このようなガイドラインに関するAPAの厳しい姿勢が示されている。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.