Japanese
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特集 感染性心内膜炎
感染性心内膜炎の内科治療の原則
Basic Medical Treatment in Infective Endocarditis
谷本 京美
1
,
川名 正敏
1
Kyomi Tanimoto
1
,
Masatosi Kawana
1
1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Tokyo Women's Medical University The Heart Institute of Japan
pp.235-239
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902253
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はじめに
感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)は心内膜,特に弁膜および支持組織に感染巣を有する敗血症の一つで,感染症状,心症状,塞栓症状など多彩な臨床症状を呈する1,2).発症には基礎疾患,誘因,起因菌などが大きく関与するため時代とともに変化している.
本症の治療の原則は起因菌の同定に努め,感受性のある殺菌性抗生物質を十分量投与し,できるだけ早急に起因菌を撲滅することにある.症例によっては感染の活動期であっても外科治療が必要な場合もあり,適切な時期での外科治療への移行によって合併症の併発を未然に防ぐ必要がある.非活動期IEにおいての内科治療の原則は本来の弁膜症としての重症度で手術適応を決定して問題ないものと思われる(vegetationの有無によって塞栓症の合併の可能性について考慮する必要はある).しかし,活動期IEの手術については,早期置換弁性IEの問題もあり,内科治療をいつまで続けるのか,いつ手術をするのか決定することが重要である.IEの患者を診察した場合,内科医としてなすべきことは実に多岐にわたるといえる.感染症状,塞栓症の検索および危険性の予測,心不全血行動態の変化に対する予測と対処,IEの原因となった原因疾患の治療や侵入路からの起因菌の予測および再発防止への処置,外科治療の必要性と時期決定(必要があれば転院もふくめて)などである.
以下ではどのような症例が内科治療とするべきなのか否かの原則と限界について述べる.
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