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特集 わが国に心臓移植が定着するには何が必要か
本邦における脳死心臓移植例と今後の展望
Current Status and Future of Heart Transplantation in Japan
松田 暉
1
,
福嶌 教偉
1
,
白倉 良太
2
Hikaru Matsuda
1
,
Norihide Fukushima
1
,
Ryota Shirakura
2
1大阪大学大学院医学系研究科機能制御外科学(第一外科)
2大阪大学大学院医学系研究科バイオメディカル教育研究センター臓器移植
1Department of Surgery for Functional Regulation, Course of Interventional Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine/Faculty of Medicine
2Department of Organ Bioregulation, Biomedical Education and Research Center, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.563-569
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902103
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はじめに
1967年にBarnardら1)が世界初の心臓移植を行い,1980年代にStanford大学のShumwayらがシクロスポリンを心臓移植に応用して遠隔成績を著しく向上させて以来,欧米では心臓移植は末期的心不全患者の外科治療法として確立されている.しかし,本邦では1968年8月の第1例以降長年の臓器移植に対する不信感のために国民の合意が得られるのに時間を要し,「臓器の移植に関する法律」が施行されたのはつい1997年10月のことである.それから1年4ヵ月目にようやく脳死者からの心,肝および腎移植が本邦でも実施された.その後,国民の臓器移植への関心が高まり意思表示カード所持率が10%近くまで増加し,1例目の提供以降に意思表示カードを所持した方からの臓器提供が3例あり,計心臓3例,肝臓2例,腎臓8例の臓器移植が施行された.しかしそれ以後,半年以上臓器提供がないのが現状であり,脳死心臓移植が定着するためには,法の見直しを含め,様々な試みが必要である.
本稿では,本邦における心臓移植の現況を述べた後に,心臓移植実施例について紹介し,最後に今後の展望について述べる.
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