Japanese
English
Bedside Teaching
QT延長症候群の遺伝的細分類とその意義
Molecular Classification of the Long QT Syndrome
森田 宏
1
,
江森 哲朗
1
,
大江 透
1
Hiroshi Morita
1
,
Tetsurou Emori
1
,
Tohru Ohe
1
1岡山大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, OKayama University Medical School
pp.383-389
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901676
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QT延長症候群(LQTS)は,心電図で特徴的なQT間隔の延長と多形性心室頻拍(Torsades depointes:TdP)を来す疾患群である.臨床的には先天性QT延長症候群と二次性(後天性)QT延長症候群に分けられる.先天性QT延長症候群は,聾を伴わず常染色体優性遺伝を示すRomano—Ward(RW)症候群と,聾を伴い常染色体劣性遺伝を示すJervell and Lange-Nielsen(JLN)症候群に分けられる1).この他に明らかな家族歴を示さない孤発例も認められる.近年遺伝子解析の発展により,LQTSの原因として数種類のイオンチャネルの異常が発見され,遺伝的にheter—ogenousな疾患群であることが判明した(図1).遺伝子異常の型,障害部位によりチャネルの機能が様々に障害されていることがわかり,臨床的な予後と関連している可能性がある.例えば,遺伝子異常の位置によって障害されるイオン電流の程度が異なったり,特発性心室細動のBrugada症候群はSCN 5 Aの異常によることが報告されている.さらに異常なイオンチャネルの性質を利用して,特異的な治療法が試みられ始めている2).
本稿ではLQTSの各タイプについて臨床的に判明している特徴と治療について概説する.
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