Japanese
English
綜説
腫瘍随伴症候群
Paraneoplastic Syndrome
升谷 雅行
1
Masayuki Masutani
1
1日本大学医学部第1内科
11st Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.1161-1167
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901366
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome,PNS)とは,腫瘍に随伴して認められる種々の症候の総称で,腫瘍およびその転移による諸臓器への浸潤や圧迫による宿主の症候は一般的に含まれない.そして,腫瘍に対する各種治療または腫瘍の存在による感染症などで説明しがたいものである.その機序は,腫瘍による種々の生理的活性物質の過剰産生,物質の代謝異常および自己免疫的機構が考えられている.PNSの頻度は,腫瘍疾患患者の10%程度であるとされ1),症候論的には神経症状を呈することが多い.一般にPNSは腫瘍疾患患者に随伴する症候の精査で発見されることが多いが,症候を契機に腫瘍が発見されることも稀ではなくなりつつある.しかしながら,直接浸潤や遠隔転移による症状と誤認する可能性もある.さらにPNSが腫瘍の進展,再発の指標となる場合もあり臨床上注意すべき症候で,近年の分子生物学的アプローチの進歩により,その成因がより明確になりつつある.
以下は本誌の性質上,呼吸器系腫瘍,特に肺癌との関連を主体に述べることとする.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.