病気のはなし
胸腺腫と腫瘍随伴症候群
廣川 誠
1
1秋田大学医学部附属病院腫瘍センター・病院
pp.490-494
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102454
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サマリー
胸腺腫は胸腺の上皮細胞に由来する腫瘍で,胸腺に発生する腫瘍のうち最も頻度の高い疾患である.病理学的分類として現在はWHO(World Health Organization)分類が用いられており,type A,AB,B1,B2およびB3の5種類がある.胸腺癌をtype Cと呼ぶこともある.臨床病期は正岡分類が用いられており,治療方針の決定に重要である.腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome)として重症筋無力症や赤芽球癆を伴うことが知られている.治療は手術が主体であるが,局所進行・転移性のものや,手術により完全に摘出できなかった症例に対して放射線療法や化学療法が行われる.予後は病理組織型および臨床病期に影響を受ける.全体の5年生存率は約70%である.
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