Japanese
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Bedside Teaching
セレラキシン
Serelaxin
筒井 裕之
1
Hiroyuki Tsutsui
1
1北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine
pp.725-730
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205999
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はじめに
急性心不全とは,日本循環器学会の急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)では「心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて急速に心ポンプ機能の代償機転が破綻し,心室拡張末期圧の上昇や主要臓器への灌流不全を来し,それに基づく症状や徴候が急性に出現,あるいは悪化した病態」と定義されている1).急性心不全による入院数は年々増加し,現在では急性心筋梗塞のそれを上回っている2).急性心不全における治療薬の主体は,利尿薬,血管拡張薬と強心薬であり,これらによって症状の改善は得られるものの,死亡や再入院を含む予後の改善は示されていない.欧米において利尿ペプチドのネシリチドやバソプレシン受容体拮抗薬のトルバプタンを用いた大規模臨床試験が行われたが,いずれも死亡や心不全による入院を減少させるとのエビデンスは得られておらず3,4),急性心不全の治療薬の進歩は十分とはいえない.
リラキシンは血管拡張作用を有するユニークなホルモンで,その合成アナログであるセレラキシンは,新たな急性心不全治療薬として期待され開発中である.本稿では,リラキシンの薬理作用とセレラキシンのエビデンスを中心に概説する.
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