Japanese
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特集 ARDSの発生・進行要因
ARDS発症に対するcomplement systemおよびphagocytic systemの関与
Complement System and Phagocytic System in the Pathophysiology of ARDS
平澤 博之
1
,
織田 成人
1
,
小高 通夫
1
,
佐藤 博
1
Hiroyuki Hirasawa
1
,
Shigeto Oda
1
,
Michio Odaka
1
,
Hiroshi Satoh
1
1千葉大学医学部第2外科
1Second Department of Surgery, Chiba University School of Medicine
pp.953-958
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204293
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最近,多臓器不全(multiple organ failure,MOF)が注目を集めている1〜3)。MOFにおける個々の臓器不全を,全身的に加わった過大な侵襲に対する各臓器の病的反応という見地に立てば,DICが過大な全身的侵襲に対する血液の反応であるのと同様に,ARDSは"過大な全身的侵襲への肺の病的反応"と定義づけられよう。いうまでもなくARDSは肺への直接的侵襲によっても発症しうるが,最近は,外傷,ショック,手術侵襲,火傷等全身的侵襲に続発するARDSが注目されつつあり,その発症機序の一端としてcomplement system,reticuloendothelial system (RES)やneutrophil等のphagocytic systemの関与が多くの研究者により示唆されている。
最近相次いで,それに対する反論が発表されつつはあるものの4,5),complement systemの活性化により,肺障害が発生する可能性がある事を,透析患者を例にあげ報告したJacob一派の論文6,7)によりこの方面の研究は始まったといっても良い。またRES機能低下によって惹起されるいわゆる"spillover現象"により,ARDSをはじめとする肺不全が発生することも,以前より注目されてつる3,8,9)。我々も,肝切除後のRES機能低下により,肺合併症が発生する可能性があり,"肝肺症候群"とでも呼ぶべき病態が存在し,RES機能を賦活することにより肝切除後の肺合併症の発生を防止できることをみている10)。
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