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最近我々はtransfemoral arteriography (以下A.G.)を施行した翌日に発症した肺塞栓症を2例経験した。1例目は前胸部不快感を訴えた直後に心呼吸停止し,2時間にわたる熱心な蘇生術により一時的に回復したが,二次的におこった広範な腸管壊死のため4日後に死亡した。剖検において高度の肺塞栓症がみられた。2例目は5分間の意識消失と前胸部不快感にて発症した。Thalli—um−201シンチグラムは急性の右室負荷を示し1),肺血流シンチグラムにて肺塞栓症の診断が確定した。ヘパリン治療にて経過は順調で無事追院した。これらの肺塞栓症は最近1年間に我々の行ったA.G.577例のうちの0.3%にあたる。我々はこの2症例の経験からA.G.の合併症として症状のある肺塞栓症がおこりうることがわかったが,無症状の肺塞栓症はもっと高頻度に発生しているのではないかと考えた。このことを明らかにするため我我はA.G.を行った連続した患者についてA.G.の前後で肺血流シンチグラムを行い,その両者の像を比較することにより,どの程度の頻度で肺塞栓症が発生し,どのような症状を呈するか,またどのような患者が肺塞栓症をおこしやすいかについて調べた。
We studied consecutive 60 patients to determine the incidence of pulmonary embolism after trans-femoral arteriography by comparing prearterio-graphy lung perfusion scans with those obtained 1day after arteriography. Twenty-four patients were performed coronary arteriography with right heart catheterization, 18 cerebral arteriography, and re-maining 18 were performed visceral arteriography.
Of the 60 patients who were evaluated, 19 (32%) demonstrated new perfusion defects in the post-arteriography lung scan.
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