Japanese
English
特集 右心をめぐる諸問題
先天性心疾患と右室機能
Congenital Heart Disease and the Function of Right Ventricle
田村 時緒
1
Tokio Tamura
1
1天理よろづ相談所病院小児科
1Dept. of Pediatrics, Tenri Hospital
pp.943-951
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202546
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先天性心疾患の診療にあたって,とくと右心機能が問われることは少く,一般の関心も薄い。こうした臨床的背景の下に右心機能を小児科医の立場でどうとり上げ,そこにどのような臨床的意義を見出しうるかがまず大きな問題である。そこで主題に入る前に,まず小児心疾患の心機能評価について筆者の基本的な考えから述べてうたい。
従来,心機能が主として心臓のポンプ機能を指標として評価されてきたのに対し,近年,とくに成人では臨床上の必要性から心筋そのものの収縮能(contractility)が重要視され1)2),適用の限界は認めながらも多くのパラメーターを用い,ポンプ機能と区別して心筋機能を評価する努力が重ねられている3)4)5)。こうした心機能評価の進展にともない,小児でも左心機能について一部で成人と同様な試みもあるが6)7)8),小児と成人とでは対象の心疾患とその診療条件が大きく相違している。小児心疾患ではまず心筋が生理的に良好で個体差の問題が少く,また異常な血行動態で障害されている心機能(心臓負荷)は,病型,血行動態の異常度,一般の理学的検査などで比較的容易に評価することができ,予後ならびに手術適応の決定あるいは健康管理上の必要な要求を満してきた。
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