巻頭言
Intensive Therapyに思う
佐藤 光男
1
1順天堂大学医学部麻酔科学教室
pp.663
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202052
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Intensive Care Unit (I. C. U.)には各科からさまざまな重症例が送りこまれ,瀕死な症例もすくなくない。そして,原疾患はなんであっても,生命の維持つまり呼吸と循環を主とするvital signsの改善にむかって多数の医師および看護婦の協力のもとに全力が傾注されている。I. C. U.とは単に重患を集めるだけのものでなく全力投球がなされる場所である。多くの重症例をあつかって気のついたことは,かかる患者のさいは疾病に対する器質的診断のほかに機能的な診断と治療が非常にしばしば重要なポイントになることである。時々刻々にうつりかわるvital signsの変化を的確につかんで適切な治療を加えていくのを一般に「患者管理」と呼ぶが,これによって瀕死の患者が回復にむかうことも稀でない。われわれのI. C. U.においても閉塞性肺疾患のための昏睡とか重症な心筋梗塞,あるいは手術後の心肺合併症に対して今までみられなかったような治療効果をあげている。
このことは,主治医だけの力によるものでなく,ほかにそれぞれの専門領域のスペシャリストが協力してくれたたまものといえる。
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