寄稿
ガラス毛細管に採取したサンプルの保存の方法
井上 とら夫
1
,
堤 夕季子
1
,
浦川 ラク
1
1九電病院肺機能検査課
pp.179
発行日 1968年2月15日
Published Date 1968/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201873
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電極法による血液ガス組成の分析装置が発展するに伴い,必要とされる血液サンプルは微量となってきた。Ⅰ・Lメーター113,S1型キュベットに付随するガラス毛細管は0.1mlというほど微量である。しかし,このガラス毛細管に採ったサンプルを保存する適当な方法がなく,とくにそれを氷水中で長時間保存する方法で確実なものはない。著者はこれについての一つの方法を報告する。
方法 ガラス毛細管に血液を採ったら鉄片を入れ,直ちに上端をひとさし指でおさえたままそれを垂直に持ち,その下端をあらかじめ42℃に温めたパラフィン(軟性パラフィン)溶液に約2mmつける(Fig.1)。ガラス管をゆっくり回転させながら1秒後に引き上げる。かくして,その先端のパラフィンは直ちにかたまり,あたかもマッチの先端のような形を呈する。次に毛細管を逆さまに持ち(この場合は上端はパラフィン封入がすんでいるからひとさし指で抑える必要はない),同様にしてパラフィン溶液につける。これによって両端は完全に気絶なしに密閉され,冷水に入れても長時間にわたって保存しうる。
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