解説
血流検査法II
熊田 衛
1
,
萩原 弥四郎
2
,
白石 純三
3
1東京大学医学部生理
2千葉大学医学部脳機能研究施設
3大阪大学医学部精神神経科
pp.435-438
発行日 1967年5月15日
Published Date 1967/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201776
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III.電磁流量計の生理学的応用
—心臓交感の心拍出量に及ぼす影響—
心機能は,心臓交感神経および心臓迷走神経により調節されているが,とくに心臓交感神経は,心室,心房の電気的,機械的活動の変化および心拍数の変化をとおして,心機能,とくに心ポンプ作用に大きな影響を与えている。左星状神経節電気刺激(SS)を行なうと,心拍数(HR)の増加とともに心拍出量(CO)が増加する。この場合COの増加は,SSによる心臓収縮性の増強と,HRの増加そのものによる影響の2つの結果である可能性がある。まずHRそのもののCOに対する影響をしらべるために,右心耳を電気刺激して,心臓を種々の頻度でペースし,頻度(HR)とCOの関係を求めると,HRがあるレベル以下ではCOはHRに無関係で一定であるが,それ以上ではHRの増加につれCOは減少する。この臨界的なHRは,ヒトでは約150/分1),イヌでは約200/分2)である。つぎに,イヌでHRを一定にしておいてSSを行なうと,すべてのHR範囲でCOの増加がおこる。しかし,その増加の程度は固定されたHRが高いほど大きい。その結果,SSが十分強力であれば,HRが200/分以上に増加しても, COは減少しないようになる(図1)。つまりSSはCO-HR関係をCO軸の上方に移動させるだけでなく,HRの増加によるCOの減少が,より高いHRまでおこらないようにする。
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