Japanese
English
ジュニアコース
期外収縮の鑑別診断
Differential diagnosis of the premature beat.
渡辺 孝
1,2
Takashi Watanabe
1,2
1群馬県成人研究所
2群馬大学医学部第2内科
1The Rescarch Institute for Chronic Disease of Gunma.
2The 2nd Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Gunma University.
pp.339-343
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201582
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はじめに
かつてWhiteは,一生涯のうち一度も期外収縮をおこさない者はないであろうと述べた。事実,期外収縮は心臓に病気のない者でもよくみられる。その発生機序は今日なお解明されたわけではないが,それが神経体液性におこったものであろうと,心臓自体の原因でおこったものであろうと,その臨床的意義は,血行動態に重大な影響を与えているか否か,あるいは今後,影響を与える種類の不整脈に移行するか否かという病態生理学的観点と,期外収縮が冠不全や心不全を思わせる主訴となっている場合があるため,患者の訴えが期外収縮自体によるのか否かという診断学的観点にある。
期外収縮の診断には心電図が独壇場の検査である。しかし実際には,診察中に脈拍や心拍の不整を呈しながら心電図記録中には現われない場合が少なからずある。このような散発的期外収縮は,臨床的にほとんど意義はないが,確証を得るためには是非とも心電図に記録せねばならない。かかる際に,いつ出現するかわからぬ期外収縮を記録しようとして,記録紙を無駄にすることは実際的でない。一つの方法は,心電計の記録紙を送らずにただペンの動きを見ながら心電図を磁気テープに,記録し,期外収縮が現われたらその前後の短かい部分を心電図に再現すればよい。また期外収縮は心拍数のすくない時期に入りこみ易い性質をもっている。したがって運動負荷をかけ,増加した心拍数が安静により回復してくる時期をねらってみるのもよい。
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