Japanese
English
症例
鏡像的右胸心における修正大血管転位症の1例
Corrected Transposition of the Great Vessels with Mirror Image Dextrocardia:A Case Report.
榊原 宏
1
,
小河 博之
1
,
林 健二
1
,
本渡 劦
1
,
岡野 厖
1
,
大沢 幹夫
2
,
橋本 明政
2
,
堺 裕
2
,
五味 春人
2
,
飯田 良直
2
Hiroshi Sakakibara
1
,
Mikio Osawa
2
1岡山市榊原十全病院
2東京女子医科大学外科学教室
1Sakakibara-Juzen Hospital
2Dept. of Surgery, Tokyo Women's Medical College.
pp.63-69
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201285
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I.はじめに
修正大血管転位症は1875年von Rokitansky1)によつて,はじめて記載された先天性心畸形である。大動脈は動脈化血を受入れる心室の前方からおこり肺動脈の前外側をこれと平行に走り,肺動脈は静脈血を受入れる心室の後方からおこり大動脈の後内側を走り,両大血管は正常心におけるごとく交叉しない。そして房室弁,心室内部構造,冠動脈の鏡像的転換を伴う2)3)4)。即ち,解剖学的に大血管は普通の大血管転位症のごとく転位した状態にあるが,本症ではこれに心室の逆転が加わり,静脈血を受入れる心房は解剖学的左心室に連り,肺静脈血を受入れる心房は解剖学的右心室に連ることにより機能的に全く修正されていて,静脈血は肺動脈から肺に入り動脈化された血液は大動脈を介して体循環に入つて正常な循環が行なわれるものである5)6)。
本症は稀な心畸形と考えられていたが多数の心疾患を取扱うにつれて次第に症例を増しつつある疾患として知られるようになり4),すでに海外において百余例の報告をみている2)3)4)5)6)7)8)9)。
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