巻頭言
肺気腫研究会の発足に当つての所感
中村 隆
1
1東北大学
pp.3
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200944
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肺気腫研究会が慶大笹本助教授,東大村尾助教授其の他の方々の賛同と協力をえて本年8月発足したが,この様な一見特殊な疾患の研究会が発足するに至つた経過と本会の主旨を主唱者の1人として紹介すると共に肺気腫について若干述べてみたい。
本邦では肺気腫は一般医師がそれ程関心をもつた病気とはいえないが,米英諸国では近年著しく注目されている。いわばトピックである。昨春の米国トルドー協会の例会に於いてFletcherは,英国では最近35年間に中年者の呼吸器疾患のなかで慢性気管支炎(肺気腫を含む)の死亡率が著しく高く,しかも抗生物質が出現した今日でも変らないといわれ,又米国でも肺気腫,慢性気管支炎の死亡率が肺結核を上まわりつつあると注目すくき報告を行つている。
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