巻頭言
アジア・オーセニア心臓学会に出席して
貫 文三郎
1
1九州大学(薬理学教室)
pp.705
発行日 1956年10月15日
Published Date 1956/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200418
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私は去る4月17日から5日間,マニラに於いて開催された第1回アジア・オーセニア心臓学会に京都の前川教授,東京の木本教授と共に出席した。アジア・オーセニア心臓学会というとヨーロツパやアメリカの学会とは大分趣きが異り大したものではないように誰でも考えるだろう。私自身もそう考えた。しかし出席すればやはり得ることがある。私は本学会が日本にとつて非常にプラスだつたと考えておる。又学会そのものも見習うべき点がないでもなかつた。
会期が5日間というので,相当多数の研究発表が行われるだろうと考えていたが,第1日は出席したというサインで終り,第2日が開会式,それに各分科会の協議会,第3日が研究発表で,これも午前中だけ,第4日は懇親園遊会,第5日は閉会式,これで終つた。日本であれば1日かせいぜい2日で足りる位であるが,国際学会というので,研究発表の他に友誼という点に重点がおかれているからである。時間にも非常なゆとりがとつてある。昼食でも2時間以上もかかり,又毎晩のようにレセプシヨン,ガーズンパーテイー,ダンスパテイーが開かれる。そういう場合でも各国代表はみんなに紹介され,立つてそれに応えなければならぬ。それで自然に名も覚えられ,又挨拶もするようになる。日本では経済事情が許されないのでそういうことは望めないが,せめて昼食後お互にゆつくり話し合う位の余裕は持ちたいものだと考えた。
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