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文献抄録
僧帽弁狭窄に伴う閉鎖不全の臨床診断,他
The clinical determination of Mitral insufficiency when associated with Mitral Stenosis
正津 晃
1
1慶大外科
pp.17
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200194
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247例の手術例中純型僧帽弁狭窄症200例,狭窄兼不全症47例である。不全の有無は弁口の触診により定め,逆流の程度を0〜4度に分類した。この手術時触診は決して完全なものではないが,現況ではより正確に逆流を知る方法がない。2度以上の逆流あるものを不全の合併と診断した。純型僧帽弁不全症は1例もなかつた。弁口の大きさと逆流の程度には密接な関係がなかった。47例の口径はタバコ大乃至指大であるが,尚弁の弾力性,孔頭筋の性状,弁の位置等がこの問題に関与してくる。
一般に純型僧帽弁狭窄症と,純型閉鎖不全症では,初期には前者は呼吸困難を主とし,後者は疲労感を主とすることが認められている。しかし狭窄兼不全症では,この様なはつきりした区別は認められないが,不全の程度が強いものでは,初期にも晩期にも疲労感の方が強いようである。ロイマの既往は狭窄症に40%,狭窄兼不全症には70%に認められた。動脈栓塞の既往及手術時左房に血栓を認めたものは,各々,狭窄症にて2.35%,43%,閉鎖不全症にて6.4%,8%,であつた。栓塞の既往があるのに手術時左房に血栓を認めなかつたものは亜急性心内膜炎により栓塞が起つたものと考えられる。閉鎖不全症の方が心内膜炎を起す率が多い。
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