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特集 肺高血圧症の新しい展開
PDE5阻害薬の有効性を予測する検査法
The Novel Method for Predicting the Effectiveness of PDE5 Inhibitors for Patients with Pulmonary Arterial Hypertension
田村 雄一
1
Yuichi Tamura
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, Keio University School of Medicine
pp.33-37
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101865
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はじめに
肺動脈性肺高血圧症に対するホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5阻害薬)の有効性はSUPER試験1)やPHIRST試験2)で示されており,エンドセリン受容体拮抗薬と並んでNYHA心機能分類Ⅱ度およびⅢ度の肺動脈性肺高血圧症患者に対する第1選択薬としての地位を確立している.しかしどのような患者にどの種類の薬剤が有効であるかという知見に関しては今日まで乏しい.PDE5阻害薬の薬理効果は肺血管内皮由来の一酸化窒素(NO)の産生能に依存するとされている.これは肺血管の内皮細胞由来のNOは血管平滑筋において可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し,cyclic GMPの産生を促すことから血管平滑筋を弛緩させるが,PDE5はこのcyclic GMPを分解する役割を担っていることから,そのPDE5の作用を抑制するPDE5阻害薬もまたその効果は内皮細胞由来のNO産生量に依存すると考えられているためである.そこで本研究では血管内皮細胞において産生されたNOは血液中に拡散するとすぐにヘモグロビン(Hgb)に吸収・代謝され,同時にヘモグロビンも酸化されてメトヘモグロビン(Met-Hgb)となるという生化学的特性に着目し,治療前の動脈血液中のMet-Hgbを測定することで,PDE5阻害薬の有効性を評価・推定できるかを検討した.
本稿ではそのデータを示すとともに,実際の症例検討も併せてMet-Hgb測定の有効性について論じる.
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