書評
―岡田晋吾,谷水正人 編―パスでできる!―がん診療の地域連携と患者サポート
望月 英隆
1
1防衛医科大学校病院
pp.544
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101487
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この度,医学書院から岡田晋吾・谷水正人両氏の編集による,『パスでできる!がん診療の地域連携と患者サポート』が刊行された.
がんの治療は,手術や抗がん化学療法のみで成り立つものではなく,手術前後の各種補助療法,病態・病勢把握のための定期的な検査や緩和医療等も含んでいる.ここで言う緩和医療とは,進行再発時におけるがん性疼痛への対処は無論のこと,診断が下された時点から求められる心理面でのケアから終末期医療までをも含む極めて広範囲の医療である.これらを一つの医療機関で不足なく行うことは至難の技である.また,近年は患者さんの価値観も多様化し,医療を受ける場所として,医療機関ではなく自宅を選択する方が増えている.このような新たな流れの中では,がん治療にかかわる医療機関が,がん患者さんごとに一貫した治療方針を共有し,それぞれのもつ機能に応じて連携を保つことが極めて重要である.国もがん治療については政策として,均てん化とともに,地域連携によるきめの細かい治療体制の整備を推し進めている.
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