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特集 冠動脈画像診断の進歩―冠動脈CTの現状と将来
労作性狭心症の診断における冠動脈CTの位置付け
Value of Coronary CT in the Diagnosis of Effort Angina
岩永 史郎
1
Shiro Iwanaga
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, Keio University School of Medicine
pp.475-479
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101475
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はじめに
労作性狭心症とは,労作中にのみ心筋虚血に典型的な胸部症状を来す疾患である.コレステロールなどの脂質とそれを貪食したマクロファージなどで構成される動脈硬化巣(プラーク)による冠動脈の狭窄が主な原因であり,プラーク内は炎症性細胞浸潤が少なく,線維組織の含有量が多く,狭窄の程度が変化しにくい特徴を持つ.灌流域の心筋が安静時に消費する動脈血を十分に流すことができるが,労作中の血流量増加を賄うだけの冠血流量を流せない比較的高度な狭窄である.労作時に典型的な胸痛に伴って心電図ST変化が認められれば診断をほぼ確定できるが,発作の持続時間が短いために日常生活中の心電図変化を記録できる可能性は低い.診断には原因となる冠動脈狭窄の検出とともに,結果として生じる心筋虚血を検出する運動負荷心電図や運動・薬剤負荷心筋血流SPECTなど機能的重症度評価法が用いられる.
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